『ドリーム』:自分の試合?

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実話ベース。原題は『Hidden Figures』。
「隠された数字」とか「埋もれていた人材」「いない者とされていた人たち」というニュアンスが、なかなかいいタイトルに訳せなくて、当初は『私たちのアポロ計画』になっていたのを、ネットで猛反対を受け、『ドリーム』に変更になったという経緯があります。(監督に直接連絡する人もいたくらいです。)実際のところ、アポロ計画よりも前の話だから、そりゃいかんだろということですね。で、『ドリーム』に落ち着いたのですが、主人公たちは「夢」を見ていたわけではありません。リアルな目標に達成するための具体的なファイトをしていたのです。

タイトルと内容が違う…?
大ヒット映画の邦題「私たちのアポロ計画」に批判 配給会社に聞く

日本語タイトルやポスターのデザインの問題は、女性参政権獲得運動を描いた映画『未来を花束にして』のときにもあったことです。この映画の原題は『Suffragette(サフラジェット)』=「女性参政権獲得運動家」という意味だったのが、邦題ではふわっとしたものになってしまって…。(売れそうな、でも意味が揺るがないタイトルに訳すのは大変ですね。)

 

さて、『ドリーム』に戻ります。この映画の下敷きにあるのは、マーキュリー計画、1958~1963年のアメリカ初の有人宇宙飛行計画です。

1961年、アメリカはソ連との熾烈な宇宙開発競争のさなか。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない「計算」を行う優秀な黒人女性たちのグループがありました。そのひとり、天才的な数学者キャサリンは宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるも、そこは白人男性ばかりの職場だったのです。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシーやエンジニアを目指すメアリーも、差別にキャリアアップを阻まれていました。それでも彼女たちは国家的な一大プロジェクトに関わるべく、自らの手で新たな扉を開いていくのです。

 

冒頭から小気味よい場面に気持ちを掴まれます。
衣装(ワンピースやツーピース)が素晴らしい!音楽もいい!
主役の3人はパワフルで美しい!

その分、差別される場面は、腹立たしいものに映ります。
黒人であること、そして女性であることによる差別です。

ただし何人か「話の分かる、いい白人」をわかりやすく用意してありました。
(これはこれで、また…。)

台詞としては、「前例なし?だから前例になるしかない」とか、
「偏見を持ってない」「知ってるわ、あなたがそう思い込んでるのは」など、
力のある言葉が印象的でした。

主人公たちの感情が想像できるエモーショナルな場面も数回あり、目が潤いました。
3人が理不尽と戦って勝ち得たものを見ていると高揚感があり、
自分も一緒に何かをなし遂げたような錯覚に陥ります。

しかーし、それは違うぞ、と思いました。
どんなに気分が高揚しようとも、
これは映画を観ているに過ぎないのだということを忘れてはいけないのです。

つまり、人は「自分の試合」をすべきだろう、ということです。

そこで、「さて、自分の試合とは?」というのが問いとして残ります。
宿題ですね。…宿題ですわ。

 

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』と『オマーラ』という女神、その続編

 

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サントラはもちろん、ドキュメンタリー映画としても素晴らしい。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」はバンド名でもあり、ブランド名でもあり。

その「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の歌姫オマーラ・ポルトゥオンド

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カッコいい…。

と振り返っていたら、「あれから18年」ということで、続編の公開です。

 

公式サイトはこちら
心して拝見したいです。

Enjoy your life!

 

『キンキーブーツ』:「勇気・元気・覇気」の源


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イギリスの田舎町にある、実在する紳士靴メーカーの話を基に作られたミュージカル。代々、機能的で地味な男性用の靴を作ってきたプライス家は、今にも倒産しそう。父の跡を継いだ青年チャーリー・プライスは思いもよらない人物をコンサルタントとして迎え、意見を求める。ドラァグ・クイーンの考える、常識破りで大胆なデザインは、古い工場に新しい風を吹き込む。彼(彼女?)は調和するためには“際立つ”ことが大事だと言うのだ。

ビジネス再生の物語であると同時に、二組の「父と息子」の間にある葛藤、
ジェンダー・バイアスへの提議など、テーマがうまくミックスされています。

ドラァグ・クイーンによるショーの場面は、最高!
「性別より勇気でしょ?」というセリフも効きます。
挨拶で、「紳士、淑女の皆さま」の後、
「そして、まだどちらにするか迷っている皆さま…」と続くのもいい。

「勇気・元気・覇気」は自らの手で引っ張り出すものだなぁと、また改めて思います。

音楽が素敵なので、サントラも買いました。

“Yes Sir I Can Boogie”という曲がカッコいい。

 

…泣ける。

ドラァグ・クイーンを演じるキウェテル・イジョフォーは、
『それでも夜は明ける』(12 Years a Slave)でも主役として好演。

Enjoy your life!

 

『ローラーガールズ・ダイアリー(Whip It)』:恋は副産物

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『ローラーガールズ・ダイアリー(Whip It)』は、
幼い頃から女優として仕事をしているドリュー・バリモアの初監督作品。

彼女自身も出演しているのですが、作品の早い時間帯で
顔面鼻血だらけになっているシーンに、とても好感が持てました。

主演のエレン・ペイジも素晴らしく、
感情その他を「歩き方」で表現するのが、本当に上手いのです。

主人公の選択、そこでの新たな努力、いわゆる「ガッツ」を見せるお話というのは、
観ているほうも、やる気が出ます。

恋は、その副産物だというのも、よくわかると思います。

 

『マルタのやさしい刺繍』:思い出した夢の実現

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『マルタのやさしい刺繍』は、おばあちゃんたちが主役。

スイスの小さな村に住む80歳のマルタは、
最愛の夫に先立たれ、沈む気持ちで毎日を過ごしていました。

ある日、彼女は忘れかけていた若かりし頃の夢、
「自分でデザインして刺繍をした、
ランジェリー・ショップをオープンさせること」

を思い出すのです。

しかし保守的な村では、彼女の夢は冷笑されるばかり。

それでも友人たちと共に、夢を現実にするために動き出します。
頑張るマルタと彼女を支える仲間たちの夢と希望の輪。
変化を恐れるのではなく、それをチャンスとし、
新しい一歩を踏み出すことで、勇気を形にしていくのです。

監督の伝えたいことが、とてもわかりやすく、過不足なしに伝わってきます。

夢を現実にしようとする際、年齢は関係ありません。
「やりますか?やりませんか?」というだけなのでしょう。

 

『MOVE YOUR BUS(ムーブ ユア バス)』:バスを加速させる人、させない人

組織をバスに例え、そのバスを動かすスタッフを<能力順>
「ドライバー:組織のリーダー」
「ランナー:期待以上のことをやってのける、チーム最強のメンバー」
「ジョガー:できる範囲で仕事をする、でも長続きしない人」
「ウォーカー:引っ張られないと動かない悲観主義者」
「ライダー:乗っているだけのお荷物」

と名付けています。

そして、そのバスをスムーズに目的地へ向かわせるには、
「ドライバー(組織の長)は、どのスタッフにどう接するべきか?」
「それぞれのスタッフは、どういう役割を果たすべきか?」

を示しています。

ドライバーの仕事は、
あくまでもランナーが最大限の力を発揮できるようにサポートすることであり、
ライダー(お荷物)をウオーカー(歩く人)にしようとすることではない。
ランナーをいかに自由に走らせるかで組織の成果は変わるからだ。

これは、真ん中あたりに照準を合わせる日本の教育とはかけ離れているかもしれません。

もう「組織には、ランナー、最低でもジョガーまでしか要らない!」と言いたくなりますが、
そのジョガーでさえ、自分のことをランナーだと勘違いするらしく…。
(ジョガー=周りにどういう人がいるかによって、仕事に影響が出やすく、
ケアが必要な人たち、だそう。)

ならば、ますます採用が大切!ということになりますね。

本には「バスを加速させる17のルール」も載っています。
1. 早めに行く
2. 身なりを整える
3. あいさつをする
4. ランナーの隣に座る
5. 助けを求める
6. 批判を受け入れる
7. やれることをやる
8. 相手の意図をくむ
9. 話す以上に聞く
10. よそ見をしない
11. 後ろ向きの話をしない
12. ランナーを盛り立てる
13. ぐずぐずしない
14. 解決策を見つける
15. 身のほどを知る
16. 信頼を築く
17. 細部に気を配る

当たり前のことのように思えますが、これがなかなか、なのでしょう…。

頭に流れたのはこれです。

どうしましょう…。

『南方マンダラ』:深淵をのぞく時

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超人・南方熊楠(1867:慶応3年 – 1941:昭和16年)。

彼がどこに、そしてどこまで手を伸ばそうとしていたのか、わたしにはわかりません。

ただ、いくつかの手がかりは、この本にあります。
表紙の右上に描かれているくしゃくしゃの何かが、いわゆる「南方曼陀羅」です。

宇宙の不思議を明かそうとしていたのだろうとは思います。
アインシュタイン(1879年 – 1955年)あたりとチームを組むことができれば、
もう少しわかりやすいものになったかもしれませんね。
(年も近いですし。)

わからないものに対する態度、これを学ぶということが学問の髄なのだと思います。
そういう意味で、この本はわたしの「お気に入り」です。

 

『希望のつくり方』:行動によって何かを実現しようとする気持ち


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この本に、希望の定義が書かれていました。

希望とは?
Hope is a Wish for Something to Come True by Action
行動によって何かを実現しようとする気持ち

明快です。

行動によって!実現!
あなたは何を実現しますか?

実現するかどうかを、「確率」ではなく、
「可能性」に焦点を当てて、実際に動いてみれば、新しい世界がひらけたりします。
つまりは「やってみたら?」です。
(この場合は、「体現」という言葉のほうがピッタリですね。)

本には、「変わる」と「変える」の違いについても書かれています。

参考:希望学

「勇気・元気・覇気」ですよ。

Enjoy your life!

 

『コラボレーションの極意―協動を導くための5つのスキル 』:「自分から始める」と「リレーションシップの型」


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コラボレーションを築くためには以下の10の戦略がある。

として・・・

1.まずは自分から始める。

とあります。

コラボレーションに限らず、「ルール・その1」だと思います。

***

「一人で行けば、目指す目的地により早く辿り着ける。
誰かと行けば、より遠くの目的地に到達できる。」

そんな言葉もあるそうです。

必ずしも、一人で行けば早く辿り着けるということではないでしょうが、
誰かと行けば、より遠くの目的地に到達できるというのは、
確かにそうかもしれないなと思います。

わたしはチームで仕事をする際、
メンバーと『コラボレーション/アシスト/サポート/ヘルプ/レスキュー』という
「リレーションシップの型」を概念として、また言語として共有しています。

これは、関係性や創造性を段階的に表す言葉であり、その時の状況を表すものでもあります。
(状況というのは、変化する事態や緊急性を示す用語でもあるということです。)

例えば、関係性や創造性という点では、メンバー間のリソースのインプット(提供)の割合は、
以下のようなイメージです。

コラボレーション(協働) 5:5
アシスト    (補助) 6:4
サポート    (支援) 7:3
ヘルプ     (援助) 8:2
レスキュー   (救助) 9:1

場やプロジェクトに対する、自分のアウトプットと相手のアウトプットの割合が、
コラボレーションの場合は、五分五分で協働している状態、
レスキューの場合は、相手も頑張っているけど、お手上げ状態で、救助の必要があるということです。
(緊急性で言うと、最も急を要する事態と言えるでしょう。)

この「リレーションシップの型」をチームで共有することで、
メンバーに「今、一時的にヘルプが必要!」とか、
「いつも、よいサポートをありがとう!」と言うことができます。

更に、今後チームとして、どのような関係性を築いていくのかについて話し合ったり、
今の状況から予測されるリスクへの準備ができます。

今、あなたのチームの、その場面に必要なのは、
どのようなリレーションシップですか?

リレーションシップの型を理解することで、メンバー全員の動きが変わってきます。
より能動的に、機能的なチームへの進化が望めるでしょう。