『ガタカ』:自分で自分をつくっていくこと

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舞台は、遺伝子操作で生まれた“適正者”だけが優遇される近未来。
人種差別の代わりに科学が差別の道具になり、階層化される社会です。

自然出産で生まれ、劣性遺伝子を持つ人間は“不適正者”として差別されます。
そんな不適正者の一人である主人公は、宇宙飛行士になる夢を抱いて家族のもとを飛び出すのですが…。

「僕に何ができるか決めつけるな!」と訳された台詞がありました。

遺伝子によって差別される社会であっても、努力の可能性は決して否定しないよ、という作品です。

環境や過去の経験のせいにして、あきらめたり、逃げたり、人に責任を転化したり、というのは、
おそらくとても簡単なことです。
でも、それで悔いが残らないのか?と自分に問えば、何が見えるでしょうか…。

18歳以上にもなれば、ある程度、自分で自分をつくっていくことはできます。
そのためには、どういう自分でいたいのかを、明らかにする必要がありますね。

 

『シカの白ちゃん』:特別であること

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奈良公園で生まれた突然変異の鹿。

額に白い冠を載せて生まれたこの鹿は、人間に愛され、特別扱いされ、
でも、他の鹿からは遠巻きにされます。
そして、ようやく授かった我が子を失い、一生を終えました。

自分で選んだわけではない、その希少で貴重なルックスは、
この鹿に何をもたらしたのでしょうか…。

あまりに擬人化して考えるのは不健全だと思いつつも、
どうしても、あれこれ想像してしまいます。

特別であることの悲哀、でしょうか。
それとも。