『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』:明日は風が…

1892年シカゴ生まれ。
低賃金の肉体労働で日々の糧を得ながら生き、1973年に81歳で亡くなった、
身寄りのないヘンリー・ダーガー

60年以上にわたり、誰にも知られることなく、
15000ページを超える原稿と300枚もの挿絵を創り続けた彼のドキュメンタリーです。

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作品は、もう一大叙事詩です。
マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』よりも長いのです。)

彼は、世界で最も長いとされる、
この壮大な絵物語『非現実の王国で(In The Realms of the Unreal)』を、
誰に見せるでもなく、死の直前まで創作し続けました。

(正式には『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、
子ども奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』というタイトルだそう。
タイトルも長い…。)

 
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天真爛漫さと残虐性が同居する奇妙なお話です。

彼のパラノイア的な活動に思い出したのは、
フランスの郵便配達人フェルディナン・シュヴァルの「シュヴァルの理想宮」。
(参考:アウトサイダー・アート

ドキュメンタリー映像の最後に、彼は気分を聞かれるといつもこう答えた、とあります。

「明日は風がやむかもしれません。」

うむ。
やむかも、しれません、ね…。

彼の一生が幸せだったかどうかは、誰にもわかりませんが、想像だけはしてみます。
そして、自分の想像力の届かなさに俯きます。

***

 

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この2冊の表紙に使われているのが、彼の作品です。
(ゴッホにも思うことですが、ヘンリー・ダーガーの懐にもお金をねじ込むシステムが欲しいですね。)

 

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