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著者は「にんじん」を書いたジュール・ルナールです。
(「にんじん」と「博物誌」は青空文庫にも公開されていますね。)
以下、「博物誌」から引用します。
「蜘蛛」
髪の毛をつかんで硬直している、真っ黒な毛むくじゃらの小さい手。
一晩じゅう、月の名によって、彼女は封印を貼りつけている。「蝶」
二つ折りの恋文が花の番地をさがしている。「蟻」
一匹一匹が、3という数字に似ている。
それも、いること、いること!
どれくらいかというと、333333333333……ああ、きりがない。「鳥のいない鳥籠」
僕のお蔭で、そのうちの少なくとも一羽だけは自由の身でいられるんだ。
つまり、そういうことになるんだ。
俳句にも似た観察。
圧縮され、そして開放された表現。
これが、彼の目が見た世界の一部、なのですね。
わたしはフランス語を日本語に訳したものに魅かれるのですが、
この本も間違いなく、その一冊です。